アリの行列はなぜできるのか ふしぎな道しるべ
道端で見かける小さなふしぎ、アリの行列
お散歩中に道端や公園で、たくさんのアリが一直線に並んで歩いているのを目にすることがあるかと思います。まるで誰かに指示されたかのように、みんな同じ方向へ黙々と進んでいます。これは一体どうしてでしょうか。アリたちはなぜ迷わずに、同じ道をたどることができるのでしょうか。
アリの行列の正体は「においの道しるべ」
アリがこのようにきちんと並んで歩くのには、特別な理由があります。それは、アリが仲間たちと「におい」を使ってコミュニケーションをとっているからです。アリは自分のお腹から「フェロモン」という特別なにおいのもとを出しています。このフェロモンは、アリにとって大切な「道しるべ」になるのです。
働きアリが食べ物を見つけると、そのアリは巣に帰るときに、自分の通った道にフェロモンを少しずつ残しながら歩きます。このにおいは、人間にはほとんど分かりませんが、アリの仲間たちにははっきりとわかります。
フェロモンが教える「宝物」の場所
フェロモンという「においの道しるべ」を見つけたアリの仲間たちは、そのにおいをたどり、食べ物のある場所へと向かいます。たくさんのアリが同じ道をたどるほど、そのにおいは濃くなり、さらに多くのアリがその道を見つけやすくなります。まるで、たくさんの人が通った道は、自然としっかりとした道になるのと同じような仕組みです。
食べ物がたくさん見つかる場所では、多くのアリがフェロモンを残しながら往復するため、においがさらに強くなります。すると、ますます多くのアリが集まってきて、あの長い行列ができてくるのです。
孫と観察してみましょう
アリの行列を見つけたら、ぜひお孫さんと一緒に観察してみてください。
- 行列の先をたどってみる: アリの行列がどこまで続いているか、そしてどこに向かっているのか、そっと追いかけてみましょう。きっと、食べ物の場所や巣の入り口が見つかるかもしれません。
- 小さな食べ物を置いてみる: アリの行列の少し離れた場所に、パンくずや砂糖などの小さな食べ物を置いてみましょう。すぐにアリが見つけに来るでしょうか。そのアリがフェロモンを残し、やがて新しい行列ができてくる様子が見られるかもしれません。ただし、たくさんのアリを呼び寄せすぎないように、量はごく少量にしてください。
- 雨上がりの道: 雨が降ると、アリの残したフェロモンは雨で流されてしまいます。そのため、雨上がりの道では、最初のアリが新しい道しるべを作り直している様子を見つけることができるかもしれません。
まとめ
アリの行列は、小さな体で一生懸命働くアリたちが、においの力で協力し合っている証拠です。道端の何気ない光景も、少し立ち止まって観察してみると、こんなにも奥深い「なぜ」が隠されています。お孫さんと一緒に、身近な自然の不思議をぜひ見つけてみてください。